上州屋の麦茶は美しくどこか懐かしい香り

田舎らしさただよう野田尻地区にぽつんとあります。

一見して普通の住宅のような工場からは、時期になると大麦を煎る香りがただよってきます。麦茶の原料を煎る香りは初めてかぐはずなのに、どこか懐かしく全身が和んでいくかのようです。

現在で4代目となる上州屋設楽彦吉商店は、類まれなこだわりを貫く麦茶・きなこ・カレーを生産しています。製造現場におじゃましてお話を伺うことができましたので、紹介します。

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大麦を煎っているさまです。竹ほうきを使ってぐるぐるとかき混ぜています。季節や気温の条件によってかき混ぜる時間は微妙に変わってきます。

同じ仕入元の麦でもその時で混ぜ心地が違うそうで、その煎り上げるタイミングが非常に重要です。混ぜている時の手の感触が肝で、煙が大量に出るため釜は目に見えず、手の重さで煎り具合を感じて判断することになります。

まるでコーヒーのような麦茶

上州屋の麦茶はとにかく濃く煎り、香り高く作られます。何も知らずに飲んで、これが麦茶であると気づかれなかったということもあるそうです。

機械で煎るタイプの麦茶が多い中、手でかき混ぜながら煎る上州屋の麦茶は珍しいと言えるそうです。

社長はTV取材を受けた際に、麦茶が体に良いといった表現をすることを断ったそうです。「私は作り手に徹しているのでそういうことは気にしない」という言葉からは、職人としてのまっすぐな心意気が伺えます。

昔から何も変えない

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昭和46年頃の製造風景は、今と全く変わりません。私が現場へ伺った際には、空間の雰囲気全体に匠の魂が宿っているようで、神聖ささえ感じました。

昔も今も変わらないこだわりの技術だからこそ保つことのできる高い品質がここにあります。

4代続くこだわり

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現社長の曽祖父が上州・群馬県で豆を煎るなどをしていた流れで、祖父の代で東京の阿佐ヶ谷へ進出し本店を構えました。

本店は住宅街にありましたが、時代の流れとともに、煎って出る大量の煙から近所迷惑とならないように現在の場所へ移転したそうです。

その時点では麦茶ときなこだけを製造していましたが、1980年台の後半に、もともと家庭内で作っていたカレーを商品化しました。

麦茶・きなこ・カレー

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この不思議なラインナップ。実は、麦茶ときなこは同じ釜で煎っているために、無関係とも言えないのです。

きなこのほうは2時間半〜3時間ほどかけて煎るということで短時間の麦茶よりはのんびりしていますが、同様に煎り上がるタイミングの見極めが重要だそうです。

国産大麦は販売ルートが限られていて雑穀問屋に聞いても入手が難しく、かき混ぜやすさなどの要望が聞き入られにくいとのことです。豆は北海道産で、違う品種では味が随分と変わってしまうため現在のもので続けたいとのことでした。

いま、そしてこれから

残念ながら山梨県上野原市で買えるお店は無いとのことで、大手含むデパートなどに卸販売しています。嬉しいことに、直接、製造現場へ訪れれば購入できるとのことでした。また、小さな子が夏休みの宿題で見学したいとの依頼があった際は快く受け入れたそうです。

購入も見学も、必ず事前に電話やメールで連絡をしてください。製造シーズンは5〜9月です。

上州屋の麦茶は熱湯で煮立てて飲むスタイルなのですが、その手間を避ける現代の消費者に向けてどのような形で商品を届けていくかを考えていきたい、と社長は語ってくださいました。手間をかける意味を、私たちも考えていくべきなんだなと感じました。

上州屋

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